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1990年に三菱から発売された初代ディアマンテ(F17A/F15A/F13A/F11A型他)です。このディアマンテ、出た当初はBMWにそっくりだとかでかすぎるとかいろいろと言われましたが、個人的には精悍なスタイルで高級感もあって、とてもカッコいいクルマだと思っていました。2.5リッターのグレードには何度か乗ったことがあるのですが、当時のクラウンやセドリックと比べてもまったく遜色なく、それどころか、クラウン・セドリック以上の高級車のように感じたのも事実です。
そしてなによりこのディアマンテのセールスポイントは安価な価格設定。最廉価グレードの2リッターV6搭載車は205万8千円から用意されていました。昔から「割安価格」に弱い私はその価格設定に大いに惹かれ、おかげで、表紙の拡大画像を見ていただくとお分かりのように、このカタログはボロボロになるまで読み込みました。
さて、この初代ディアマンテ、キーワードはやっぱり“3ナンバー”です。カタログでも至るところに「3ナンバー」、「小型車枠を超えた」、「ワイドボディ」、「全幅1775mm」などという表現が溢れていますね。
当時、シーマ現象として大ヒットした日産シーマや、その対抗馬であるトヨタのセルシオという大型高級車が既に市販されていましたが、バブル期に大儲けされた方ならともかく、少なくとも庶民にとっては“身近な存在”というクルマではありませんでしたね。
永年“5ナンバー枠”という枠組みの中で造られた国産車に慣れた人間にとっては“3ナンバー車”という響きは一種の憧れであり、「いつかはクラウンに」というフレーズと同様、「いつかは3ナンバー車に」という願望も多くの方が持たれていたことと思います。私自身もそうでした。
そんな背景の中で税制変更にいち早く対応して世に出されたのがこのディアマンテ。「いつかは3ナンバー車に」という願望を初代ディアマンテで叶えられた方も多かったことでしょう。初代ディアマンテが発売された時点ではクラウンもセドリックもマーク2三兄弟も、まだ5ナンバー枠での設計でしたので、それらと同等もしくはそれらより安価に「大きな3ナンバー車」に乗れたわけですから、人気が出たのもうなずけますね。
初代ディアマンテがカー・オブ・ザ・イヤーを獲得してから20年が過ぎました。現在“3ナンバー”という響きに憧れを持つ方はおそらくほとんどいないでしょう。それどころか、“全幅を5ナンバー枠に抑えた”ということをセールスポイントとしてカタログで謳っているクルマもあります。
最も売れているプリウスも3ナンバー、シビックも3ナンバー、カローラの仲間であるオーリスやルミオンも3ナンバー、かつてのファミリアであるアクセラも3ナンバー、もはや大衆車もほとんどが3ナンバーですね。
大衆車が3ナンバーになれば、もちろん高級車はもっと大きくなっています。全幅1.8m超えも全然珍しくありません。フーガやレジェンド、カムリ等はでかすぎてまったく購入意欲が湧きません。かつて“大きな3ナンバー車”に憧れた人でも、現在の“大きすぎる3ナンバー車”には見切りを付けてしまっている方も意外と多いのかもしれませんね。
ディアマンテ・25V-SE(F15A型)
全長×全幅×全高 : 4740×1775×1410kg
ホイールベース : 2720mm
車両重量 : 1530kg
エンジン : V6DOHC 2497cc 175PS
☆『
旧車カタログコレクション(web版)』にて大きな画像及び未掲載の画像を掲載しています。☆
旧車サイトのリンク集です。珍しい旧車が見つかるかも?
あの頃の三菱は今からは考えられないほど元気いっぱいだったのが懐かしく思い出されるのと同時に、その影ではエンジン内部のコンピュータが走行中に急に不調をきたして止まってしまうディアマンテも一定パーセンテージあったと言われ、乗り手の皆さんはどうされたか人事ながら恐怖の戦慄が走るという次第です。
この横置きFFで2.5Lがメイン、スタイルはBMWと酷似したディアマンテは200万円台初頭から手に入り(グレードは25E)、多くの庶民が3ナンバー車の夢を叶えたことは確かです。
その反面、3ナンバー車という存在が何らスペシャルなものではなくなり、格別のありがたみも消えてしまったというのは歴史の功罪でしょうか。
奇しくも小生自身としても「我が家初の3ナンバー」メルセデス・ベンツ260Eを手に入れたのは忘れもしない1992年4月、バブル崩壊直後でそれでいて三菱ディアマンテが売れまくっているさなかであったのはどこか皮肉な上、思わせぶりなタイミングだったかと感じられます。すなわち、小生及び我が家が3ナンバーの恩恵にあずかれるようになった時点ではかつては成功者の証として光り輝いていた「3ナンバー」「オーバー2リッター」という記号は手垢が付いたブリキの勲章と似た存在と化しており、あまりに皆が乗っていることも手伝って今度は知性の欠如というか「何でこの狭い日本に大きいクルマなのか」という後ろめたさ・歯がゆさが先立つようになり、今や5ナンバーの小型サイズの方がすがすがしく爽やかに感じられるに至ったのはバブルがもたらした「かりそめの繁栄」とそのアイコンとしての「3ナンバー」がいかに表層的な存在だったかを映し出しているのではないかと分析できます。
もはやバブルも遠い昔の出来事となり、今やハイブリッドのエコブームですが、破竹の勢いで売れているプリウスもよく考えればかつての三菱ディアマンテと底面積では大差ない3ナンバーであり、その製造にかかる資源・エネルギーの量を考えるに手放しでエコとは言い難く、結局我々大衆もバブルの頃は大パワーの大型エンジン、今日は偽善エコのハイブリッドと、マスコミに衆愚政治的に踊らされるチッポケな存在であり、逆にメディアのファシズム的要素も深く感じられる今日この頃です。