今日は下らない独り言です。「人生のハードル、ひとつクリア!」なんていう大仰なタイトルを付けましたが、実は今日、親不知を一本抜いてきました。数日前から物を噛むたびに奥歯に激痛が走り、その激痛度合いと言えばまるで「目玉が飛び出すぐらい」。流石に耐え切れなくなってきたので、うちがずっとお世話になっている歯科医を訪ね、処置をお願いしました。
うちがずっとお世話になっていると言っても、私自身が処置を受けるのは初めてで、祖母が寝たきりだった頃に往診に来ていただいていた先生です。その縁で父も母もその歯科医にお世話になっていましたが、ついに今日、私までお世話になることとなりました。
親不知といえば、云十年前の学生時代に一度、当時住んでいた東京の歯科医に抜いていただいたことがありました。そのときも物を噛むたびに奥歯に激痛が走るようになり、当時お世話になっていたバイト先の先輩が見るに見かねて痛み止めのバファリンを下さいました。しかしながらそれを飲んだら体中に蕁麻疹が出てさらなる大騒ぎに。結局アレルギーは大したことなく治まりましたが、その後、当時二十歳過ぎだったにも関わらずよく高校生に間違えられていたほど私は童顔だったので、バイト先では「○○君は小児用バファリンじゃないとダメだな」なんてからかわれるようになってしまいました。
バファリン騒ぎの後、実際に親不知を歯科医に抜いていただいたのですが、その時の記憶は、「まさしく地獄」。「麻酔かけたから痛みはありませんよ~」なんて先生はおっしゃいましたが、その先生、結構若くて筋骨隆々の男性で、私の親不知を引っこ抜くときの彼の力瘤を見てしまったので、「まるでランボーじゃないか!」と、視覚から恐怖感を植え付けられてしまいました。
そして今日、ランボーのような先生ではありませんでしたが、過去の失敗を繰り返さないように私はずっと目を瞑っていました。「痛かったら左手を上げてくださいね!」と先生が優しい声で言ってくださいます。
先生が処置に入った瞬間、私は左手を上げました。目を閉じていましたが、歯茎と歯が引き裂かれ、繊維が切れる音が「ビチッ、ビチッ」って聞こえる(感じられる)んですよね。思わず、「痛い!」と言ってしまいました。
先生から「本当に痛いですか?」と問われ、「いや、痛くないけど音が聞こえるんです」と答えたら、「はっはっはっ、奥歯は耳に近いから骨を伝わって振動が音に感じられるんですよね~」なんて鼻歌交じりに笑いながら「もうちょっとでちゅよ~」なんて赤ちゃん言葉まで使いやがります。
私の頭は真っ白でしたが、そうこうしているうちに「はいっ、抜けた!」と私の目の前に血まみれの親不知を差し出す無神経さ、医師って、やっぱりちょっと変わった方でないと務まらない職業のようですね。
いろいろと思うところはありますが、先生のおかげで親不知を抜いた後は今朝までの痛みがまったくなくなり、先ほどは早速すき焼きを食べてしまいました。ここ数日、おかゆとお茶漬けばかりだったので生き返った気分です。
とっても人当たりがよく、うちとは数十年にわたってお付き合いいただいているその歯科医の先生、レントゲン写真を見ながら、「まだ2本残ってるけどどうする?きっとそのうちに今と同じ痛みが出てくるよ。」とニコニコ笑いながら脅迫してきます。
「ありがとうございます。とりあえず、当面の痛みはなくなると思いますので、また痛みが出たらお願いします。きっとその頃には今日の歯茎と歯が引き裂かれる音の記憶も薄れていると思いますから。」と、精一杯の回答をしておきました。
「人生のハードル」、まだあとふたつありそうです。「敵は本能寺にあり」、「ブルータス、お前もか」等々、いろいろと歴史的な名言が残っていますが、自分の口の中というのもなかなか侮れないですね。

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