このところ、「マイナス金利」という言葉が毎日のようにニュースを賑わせています。先日日銀が発表した金融政策の一つで、要は銀行はお金を眠らせていないでどんどん市中に貸し出し、投資や消費を活発にしなさいということのようですね。この政策の是非は別として、またこれをきっかけにしてなのかどうかはわかりませんが、毎日為替相場も株式市場も大混乱。これほどの大変動を毎日見続けていたら、素人考えでも多少のマイナス金利を覚悟してでもお金を眠らせておくことが一番リスクが低いような気もしてきてしまいますね。
お金を有効に生かそうとしてメガソーラーを建設したとしても、電力会社の事情で無期限に接続拒否されてしまうかもしれないし、アパートを建設したとしても、人口減時代の今、やがて空室ばかりになってしまうことは目に見えているし・・・。結局何もしないことが一番安全、という結論に至っている方が多いんでしょうね。
さて、この「マイナス金利」というのは、本来お金を預けると金利をいただけるはずのところ、逆に手数料を支払わなくてはならないという状態のことですが、私の住んでいる地域の農地は既にかなり前からこの状態になっています。地主が農業者に農地を貸し、農業者は地主に地代を支払うというのが本来の姿だと思いますが、この地では地主が農業者に手数料を支払い、田んぼで稲作をしていただいています。もちろん収穫したお米をいくらかいただくということもありません。田んぼの税金、用水代は地主が支払い、用水路の管理(どぶ掃除や止水板の設置等)も地主が行い、農業者に快適に稲作を行っていただく準備は地主がすべて行います。農地の費用や煩わしいことはすべて地主が負い、さらに地主から手数料を取っていても、稲作農業者は割に合わないからもう止めたいと言っています。おかしな状況ですね。
このようなおかしな状況になっている稲作を、偉い方々は大規模化を進めて海外に売り込もうとしています。米どころと呼ばれる地域の事情がどうなのかは分かりませんが、住宅地と農地が入り混じっている、いわゆる都市近郊地域というのは、おそらく多かれ少なかれこんな状態になっているのではないかと思います。地主のボランティア行為を前提としても成り立たない稲作、いったいどうすればいいのでしょうね。ちなみに、そんな状態ならばどうして田んぼを手放さないんだという意見も出るかもしれませんが、実は地主のほとんどがタダでもいいから田んぼを手放したいと思っているのが本音です。しかし上記のように、仮に農業者がすべての田んぼを自分の田んぼとしてしまったら、税金負担、用水代負担、用水路の管理等を農業者自身でしなくてはならなくなり、地主からの手数料収入もなくなってしまうために稲作が成り立たなくなってしまいます。つまり、都市近郊地での稲作はまったく成り立っていないということですね。
TPP関連の報道でもこのような中途半端な地域の稲作はまったく話題に上らないので、ちょっと身近な事例を書いてみました。私自身、農業をしていますが畑作のみで稲作はまったくやる気はありません。いくら超低金利、マイナス金利時代と言われても、たかだか2、3反ほどの田んぼのために稲作用農機を購入するような自殺行為はできません。うちのご近所さんも、ほとんどがその程度の規模の田んぼの持ち主ですから、皆考えは同じです。
金融政策でいくらお金を動かしやすいような環境を作っても、投資するに見合う対象がないのですから動かしようがありませんね。なんだか根本的な部分で歯車がずれてしまっているような気がしてなりません。

と、こんなことを焚火をしながら考えていました。都会ではやってはいけないことですが、田舎では剪定した木を皆、タイミングを見計らって庭や畑の片隅で燃やしています。この灰を畑にまくととても良い肥料になるんですよね。ホームセンターでは「草木灰」としてかなり高価な値で売られていますが、もちろん田舎では自家製です。正式には、剪定した庭木は地域のクリーンセンターに処分量を払って引き取ってもらわなくてはならず、さらにホームセンターや農協でお金を払って草木灰を買ってこなければなりません。こんな些細なことだけでGDPがいくらか増えます。しかしながら、田舎ではそんな間抜けなことはせず、剪定し、その場で燃やし、その場の畑にまいています。GDPはまったく増えませんが、明らかに効率的ですよね。GDPを600兆円にするのもよいですが、意外と生活の豊かさはそれだけでは計れないかもしれませんね。

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